「懐紙」をご存じでしょうか。懐紙(かいし)は茶道では必需品です。茶道ではお抹茶を頂く前に、お菓子を頂きますが、縁高*(ふちだか)や菓子鉢から和菓子を取り分ける時に硫酸紙(りゅうさんし)を挟んだ懐紙の上に置きます。又、お茶事の時には器を清めたりなど、とても用途の広いものです。
私はバックの中にこの懐紙や、その代わりになるように半紙を畳んだものを入れて持ち歩いています。
レストランで食べ残した美味しいパンやクッキーを包む時に、この和紙の懐紙や半紙を使います。また、口元を隠したいと思う時がありますね。その時にもこの懐紙を使うと優雅に見えます。そうそう、会席料理でお魚の骨を外す時にも頭の方を腰のある懐紙で押さえると、スマートです。他にもちょっとしたお金や小物を人にお渡しする時、懐紙に包んで渡す事もあります。メモ用紙の代わりに使う事もあります。
懐紙は平安時代の頃、貴族がその当時貴重だった紙を、身だしなみの一つとして日常持ち歩いた事に始まると言います。そして煩雑な儀式のメモ用紙の代わりとして、あるいは和歌や漢詩をしたためる為に用いてきたという歴史を持っているのです。
私が習った煎茶道に「懐式」(かいしき)と言うものがありました。「懐式」では懐紙を使って様々な折り方を習いました。まず最初に習ったのは吉事用(きちじよう)と凶事用(きょうじよう)の折り方です。日本にはお祝い用としての吉事用と悲しみを表す凶事用の折り方があります。一枚の懐紙が折り方一つで吉事用にも凶事用にもなります。実際的な吉事用と凶事用の折り方は写真を参考になさって下さい。
日本の銘々皿が塗りの場合、黒文字などで塗りを傷つけないように銘々皿の上に懐紙を折って敷き、その上に和菓子を乗せます。この時もお祝い用や普段は吉事用の折り方をします。仏事などの場合には凶事用の折り方をします。以前天ぷら屋さんで、凶事用の折り方をしたお懐紙の上に揚げたての天ぷらを乗せられた時は、懐紙の事をご存じないのだろうと思いながらも良い気持ちはしませんでした。
また、懐紙を兜(かぶと)に折って銘々皿の代わりに使う事も出来ます。参考に折った所を写真で紹介します。下の折り返しに黒文字を挟むと便利です。
懐紙は茶道具屋、デパート 、雑貨店、お土産屋でも扱っています。ネットで探されるのも良いでしょう。半紙はお習字の練習紙ですから文房具店にあります。正式な白色の懐紙だけではなく、カラフルな色付きの物や、干支や可愛い柄がついているお懐紙もあります。懐紙と懐紙の間に硫酸紙(りゅうさんし••デパート等で購入可)を挟んでおくと、水分の多い和菓子を乗せても下の懐紙を汚さずにすみます。
あなたのバックに忍ばせてエレガントに使いこなし、周りの方にも日本の小さな文化をお伝え下さいませ。
*縁高•••重箱のような形で和菓子を入れる物
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