陶器屋さんや雑貨店に入ると、意外に面白いモノを見つけるものです。例えば、小瓶。ミニ花瓶としてやお楊枝入れとして作られたもの、又は煎茶道具として作られた箸立てでしょうか。どれも陶器や磁器、ガラス、錫などで作られた小瓶です。可愛いからとつい手にされた方も、もしかしたら買ったまま引き出しにしまってはいませんか?
お茶の世界では、専用の使い方以外でその道具を使う時、「見立て使い」と言う言葉を使います。
私は暮らしの道具として身近にあるモノを、随分「見立て使い」として楽しんできました。
次女は小さかった頃、小学校から戻ると、「ママ、お土産よ。」と、どこから摘んできたのか小花のブーケを毎日手渡してくれました。実は、花と言っても畦道で見つけたのでしょう。可愛い小花が2、3輪付いた小さな草の束なのです。でも、私は娘の気持ちがただただ嬉しくて、「楊枝入れ」やお煎茶で使う「箸立て」を花瓶としてお土産の花を挿し、キッチンの出窓に飾りました。随分経って大人になった次女が、「小学生の頃、ママがいつも私の花を飾ってくれてたでしょう。嬉しかった!」懐かしそうに話してくれました。
あなたも周りにある器や道具などを使って「見立て使い」をなさってみませんか?例えば、深皿やガラス鉢に花や花弁を浮かして、テーブルに乗せてみるのも「見立て使い」の一つです。意外な趣向に「おやっ」っと誰かが小さな驚きを見せてくれるかも知れません。
私は買ったお花を最初は花瓶に飾りますが、毎日水を替え、花も水切りをし続けると短くなって、花器をコップに替え、次には一輪挿しに、最後はその花びらさえも愛おしくて活かし方を考えるのです。先程申し上げた深皿に花びらだけを散らしてみると、水の涼感と相まって、夏などにはとても素敵です。
最初に手ほどきを受けたお抹茶の先生は、この「見立て使い」がお上手で、どこで探されたのか美しい小箱や貝をお香入れにして楽しんでいらっしゃいました。お煎茶の先生からも珍しい布を探した時、お煎茶で使用する敷物に仕立てると良い、とアドバイスを頂きました。又、海岸で流木を探して、衝立(ついたて)として、お使いでした。
お茶の世界にはこのように物を見る目を養い、活かしきる考え方があります。
お道具ばかりではありません。昔、祖母は着物を仕立て、古くなると自宅で洗い張りにして仕立て直しをし、生地が足りない時は羽織や道行き(短めの着物のコート)などに見立てて作り、最後まで丁寧に着ていました。余った布は10センチや5センチの正方形に切ってとっておき、モダンな座布団に仕立てていました。今で言うところのパッチワークです。
断捨離と言う身の回りの道具をシンプルにして生活する事は必要ですが、逆に見方をかえることで活かす事の出来るお道具やお品もあると思います。
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