知っているようできちんと知らない事は、お付き合いのマナーに関しても意外にあるものです。
まず、贈答について書きたいと思います。贈答とは相手への気持ちを形にして伝える事です。よく知られた贈答にお中元やお歳暮があります。これは、日頃お世話になっている方への感謝の気持ちを伝えるものです。また、結婚祝いや誕生祝い、成人のお祝いのようにお互いに喜びを分かち合うための贈り物があります。それから、頂いたものに返礼の意味で送る内祝や香典返しといった贈り物があります。他にも贈り物をする機会はありますね。
では贈り物選びのポイントとは何でしょうか?
お祝いの品物は、基本的には先様(相手)の好みやライフスタイルに合わせると良いと思います。具体的には、小さなお子様がいればお子様が喜びそうなもの、お酒がお好きな方ならお酒、またいくつあっても困らない物、家族みんなが使える物などといった物です。通常贈り物の定番と言えば、食品と嗜好品です。でも先様のお好みがわからない場合は、定評あるブランド品や保存の効く品を選ぶと良いと思います。
私は家計簿にお中元とお歳暮を始め贈り物を誰にいつ何を贈ったかひかえています。また、頂いた物もひかえています。今後のお付き合いの参考にする為です。毎年贈る方にはなるべく同じ物を贈るようにしています。昔、「ハムの人」と言うコマーシャルがありましたが、我が家も毎年いつもと同じ贈り物を頂いて重宝しています。ただし贈る相手が友人の場合には、たまに電話で「今年も同じ物でいい?」などと訊く事にしています。先様の意向に沿って喜んで頂くのが基本スタンスだからです。
贈り物にもタブーがあります。
数で申しますと、吉事には奇数、凶事には偶数を贈るのが昔からのしきたりです。例えば、「八」は末広がりで縁起が良いとされる一方、「四」「九」は死や苦を連想されるとして嫌われます。また、ダース単位やペアものは偶数でも良いとされます。
贈る相手によっても違います。目上の人に履物や靴下などを贈ることは「踏みつける」と言う意味につながり敬遠します。お見舞いの贈り物にもタブーがあります。例えば、鉢植えは「根つく」から「寝つく」を連想させるため嫌われます。花では菊(お葬式を連想させるから)、椿(首から落ちる)、シクラメン(死や苦が入っている)は使いません。最近は香りのない花が多いようですが、病院では香りの強い花は嫌われます。
お見舞いを頂いた場合、退院後には「快気祝い」としてお返しをします。
お返しの目安は大体頂いた額の三分の一か半返しと言って二分の一が目安です。
お宅を訪問する時など、私は手土産を必ず用意します。
大体2〜3千円くらいのお菓子を準備する事が多いのですが、よく存じ上げている方には先様のお好みの物に致します。
お中元やお歳暮に関しての由来を申しますと、
本来「中元」とは古代中国の三元説で七月十五日を意味します。この日に供物を捧げて天地万物を祀っていました。これが日本に伝わり、お盆と重なる「中元」の時期に先祖への供物を本家や親類に送ったことが「お中元」の始まりです。一方、「歳暮」とは年の暮れの意味で歳神様を迎える供物を年内に本家に届ける風習の名残と言われます。このように別々の習慣から始まった贈答の習慣ですから、両方贈らないといけないと言うものではありません。
贈る時期として、お中元はお盆までに贈る方が一般的です。表書きは「暑中御見舞」や「暑中御伺」とします。立秋を過ぎたら「残暑御見舞」とします。お歳暮はお正月前までに贈るのが一般的です。表書きは「御歳暮」としますが、年明けに贈る場合は「お年賀」、また一月七日を過ぎた場合は「寒中御見舞」と致します。
昨今は百貨店を始めとしてこの「お中元」「お歳暮」の案内の時期が早まっています。私も五月にお中元の案内が届いた時には驚きました。でも、お届けの時期は従来通りにしています。また、本来は先様に持参するのが普通でしたが、今は宅配業者に委託する事が多くなりました。その場合には、品物だけを贈るのは失礼になりますので、贈る前に電話やメールで伝えるとか品物に「添え状」を同封すると良いと思います。以前、私はいきなり百貨店からマンゴーが届き、驚いた事があります。体調を崩した私へのお見舞いだったようですが、送り主から一言の挨拶もなく、入院したわけでもなかったので何の贈り物なのかと困惑しました。
贈答には意味があり、先様に喜んで頂くためのマナーを知っている事は大切です。また、頂いたらお礼の手紙、ハガキ、電話またはメールやLINEで感謝の気持ちを伝えることが大事です。
ESPOIR 〜希望〜をもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。