日本は海に囲まれ、様々な食材の宝庫だと言われます。食卓風景も和食に限らず、洋食、中華、エスニックとテーブルに乗せられる料理は多彩です。でも、やはり自宅でのご飯には、お味噌汁、焼き魚やお肉に根菜類の煮物、胡瓜とワカメの酢の物と言った昔ながらの伝統のメニューに心が和みます。
さて、このような和の食卓の基本的なセッティングをご存じでしょうか。TVドラマなどの食卓風景を観ていますと、ご飯茶碗とお汁椀の置き方が逆だったりバラバラだったり、お箸の置き方も適当に置かれていて呆れてしまいます。
元々日本料理には、格式の高い「本膳料理」、茶会で出される「懐石料理」、料理茶屋が始めた「会席料理」の3種類があります。そこで出されるお料理はどれも季節感が重視され、
その献立の基本は「飯」、「汁」、「煮物」や「焼き物」など3品の「菜」がつく、一汁三菜(いちじゅうさんさい)です。「香の物(漬物)」は必ずつけますが、「菜」には数えません。
自宅の食卓に並ぶ和食と言った時、上記のようなお料理、又は簡略化された料理が並びます。
一汁三菜の並べ方は、向かって左手前に飯碗、右手前に汁椀を配置します。肉や魚といった主菜は右奥、煮物・蒸し物などの副菜は左奥に置きます。また、和え物などの副々菜はその中央に、その手前に「香の物」の器を並べます。お箸は箸先を左にして、一番手前に箸置きの上に置きます。
ちなみに抹茶の茶事で出される懐石料理では、最初に折敷(お盆)の上に乗せる料理は左に飯、右に汁、中央奥に向付け(むこうづけ:主に刺身)と決まっています。ご飯が左にあるのは左上位の考え方からだ、とも言われます。汁を右に置くのは、こぼさないようにする為だ、と煎茶道で習いました。考え方は同じで、お茶やお菓子を出す時は客前の左にお菓子、右にお茶となります。お菓子をつけない場合はお茶を客の中央に出します。
上記の一汁三菜のセッティングの場合、お盆を使うと便利です。私は夕食の時には、一人ひとりに半月盆(半月の形をしたお盆)を使っていました。それぞれの器に入った料理を上記の考え方でお盆に並べ、テーブルにそのまま出していました。テーブルの上はお盆が整然と並ぶので綺麗です。お鉢や大皿に盛った料理があれば、テーブルの真ん中に置きます。片付ける時は、お盆ごと下げれば効率も良いのです。
私が使っていたお盆は、木目に軽く漆を塗ったものです。真塗りの上等なお盆ではありません。でも何を乗せても、例えばカレーにサラダといったお料理もまとまりがついてテーブル全体を美しく見せました。いま我が家では和風のランチョンマットを和食の時のお盆代わりに使っていますが、便利に思ったのはやはり「お盆」です。
家族が一番揃うのは食卓を囲む時です。並べ方の基本を知っていれば、テーブルをキャンバスとしてセッティングするのは楽しい事です。あとは美味しい料理とTVのコマーシャルではありませんが、家族の笑顔でしょうか。
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