旅の思い出 ダイアナ妃とテートギャラリー

イギリスに旅行した時のバッキンガム宮殿です

イギリスには何度か訪れた事があります。その中で一番思い出深い出来事と言えば、最近映画にもなったダイアナ元妃の葬儀の当日にロンドンに入った事でしょう。その時の街の様子は今でもハッキリと思い出す事が出来ます。

街中に哀しみが溢れていました。バッキンガム宮殿の前には色とりどりの花がうず高く積まれ、道路にはみださんばかりでした。花々を踏まないように気をつけながら周りを歩いていると、花の間にメッセージカードや手描きの絵などが捧げられていました。所々に蝋燭を灯した跡もあります。イギリス中が美しいダイアナ元妃の急死を嘆いていました。まだ立ち去りがたく肩を寄せ合って涙を流す人達がいます。呆然と佇んでどこか虚空を見つめている人もいます。

私もダイアナ元妃に少なからず好意を持っていましたが、人々の言葉に尽くせない程の哀しみに私も共感し、ダイアナ元妃の功績の大きさやイギリスの方達の妃に寄せた深い信頼に思いを馳せました。

宿泊先のチャーチル・インターコンチネンタルホテルに着くと、ロビーの一角にはテーブルに溢れるほどの白い花が高く美しく活けられ、その前にダイアナ元妃の遺影が飾られていました。そのような遺影はフォートナム&メイソンの店頭にも、その通りに続く他の店頭にも次々に見られ、国を挙げて喪に服している様子が伝わって来ました。ダイアナ元妃は国中の人に愛されているのだとの印象を深くしました。

さて、私のその時の旅の目的の一つがテートギャラリー(2000年からは単にテイト ブリテンと呼ばれているようです)を訪ねる事でした。私はターナーの絵画が好きで、是非本物の絵を見てみたいと思っていました。翌日、早速ロンドンタクシーで駆けつけました。

私の予想に反して、ターナーの絵画だけで何部屋にも渡って飾られており、私は時間を忘れて一点一点に見入りました。ターナーを知るには「自画像」だと思いますが、私は自然の光に用いられる淡い黄色からオレンジにかけてのあの色使いに魅せられていました。「ノアハム城」や「レガッタ」などの作品です。又、自然の脅威を表現した嵐に翻弄される船などの迫力に満ちた作品はとても素晴らしいものです。

ターナーはイギリスを代表するロマン主義の画家であり、風景画を得意としています。間近で実際の自然の様子をじっくり観察して絵にしていたとの説明がありました。

テートギャラリーには他にも沢山の絵画が展示されています。でもあまりにゆっくりターナーのコーナーで過ごしてしまい、他の作品を鑑賞する事ができませんでした。二、三日は通わなければ全作品を鑑賞するのは無理のようです。

私は絵画はその描かれた土地や国で観るのが一番だと思っています。描かれるその土地にはそこだけの空気感や色味があると思うのです。フランスの自然光とイギリスの自然光は違うでしょう。

その国、その土地柄を肌身で感じ、絵画に触れるのは私にとって素晴らしい体験なのです。

奇しくもダイアナ元妃の葬儀の日にロンドンに入り、葬儀後の悲しみをイギリスの方々と同じくし、予定していた事とは言えロンドン生まれでイギリスを代表する画家ウイリアム・ターナーの作品に触れ、心を癒された事は特別な思い出になりました。


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