今年は日本の暦、二十四節気に焦点を当て立春から追って書いています。
夏の一番目は5月5日の「立夏」(りっか)です。
「立夏」は字の通り、夏の兆しが見え始める頃、と言う意味です。今年は3月になっても雪が舞うなど安定しない日々が続きましたが、ゴールデンウィークの頃ともなると新緑が陽に輝き眩しいくらいです。爽やかな風が吹き、良い季節になったと誰もが実感される事でしょう。
「立夏」と「初夏」の違いはご存知でしょうか。「立夏」は夏の兆し、「初夏」はまさに夏の始まりと言うことです。「立夏」の頃は気候が安定し、レジャーにも最適です。奇しくもゴールデンウィークを挟み比較的長いお休みが取れ、旅行やキャンプに出かけるのも楽しいですね。
5月5日は「子供の日」です。この日は「端午の節句」とも「菖蒲の節句」とも言い、特に男のお子様が誕生なさった家では健やかな成長を祈ってお祝いを致します。
「端午」とは月初めの午(うま)の日と言う意味です。この「午」と「五」の読みが同じなので五日を「端午の節句」としたと言います。ところで、この日に男の子の立身出世や厄除けを願って祝う習慣は江戸時代以降に出来たと言われます。菖蒲(しょうぶ)は厄除け、それが尚武(しょうぶ)と同じ読み方である事から縁起が良いとされ、菖蒲湯に入り鎧兜(よろいかぶと)や武者人形を飾る現代の節句に発展してきました。
この日に頂く食べ物と言えば、「柏餅」や「ちまき」があげられます。
「柏餅」の柏の葉は新芽が出ないと古い葉が落ちない事から家系が絶えない縁起物とされています。「ちまき」は餅米を茅(ちがや)で巻いた事から「ちまき」と言われます。これは中国の古事に倣って、立派な大人になるよう願い子供に食べさせたと言います。
端午の節句をするお宅では、鯉のぼりや武者のぼりを家の外に竹竿を立てて飾ります。しかし、現代では住宅事情もありマンションのベランダに小さめの鯉のぼりを泳がせているお宅も見かけます。
かなり前の事になりますが、私もそのお祝いに招かれました。その家では、鯉のぼりは元より武者のぼりが10本ほど並び、お子様の名前が染め抜かれたものもありました。初孫にお祖父様やお祖母様が贈られたものでした。お床には武者人形や鎧・兜が飾られ、贅沢な食事が用意されていました。赤ちゃんは何も覚えていないのでしょうが、こうやって皆に愛されて育っていくのだと、私は微笑ましい気持ちになりました。
この時期の旬の食材と言えば地域によっても違いますが、筍、新玉ねぎ、新じゃが、そら豆、ふきなどがあります。
この頃の事かと思いますが、亡き父のビールの共に茹でたてのそら豆が供されていました。父が育てたそら豆です。私はそばに座って晩酌の相手をしていました。もちろん、ホクホクしたそら豆を味わいながら。さまざまな出来事は忘れても舌が覚えた食の思い出は忘れないものですね。
今月はMaiさんのピアノで「からたちの花」をお届けします。お楽しみ下さいませ。
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