先輩達の話

先輩達への感謝の花束です

私の祖母は95歳で世を去りましたが、私にはこの年代の知り合いが3人います。それぞれに人生を豊かに生きて来られた方達です。

体調を崩して娘さんの近くに引っ越されたAさんは、80代までお仕事を続けられた方でした。保険の外交員として働き、いつも姿勢良いお姿で70代でもヒールを履き、バスに乗って会社回りをされていました。退職されてからも時々お便りを頂き、私も近況を伝えていました。地震が起きると安否を気遣って、一番最初にお電話をくださるのがAさんでした。

二年前くらいになると思いますが、いつも几帳面なAさんから年賀状が届かないので案じていると、大寒頃に息子さんから「昨年、母が転んで入院をした為、年賀状の返信を辞退させて頂きます」と言う内容の丁寧なお手紙を頂戴しました。恐らく当時で90代の中頃になっていらしたのではないでしょうか。家庭、仕事、子育てこの三つを成り立たせるのは容易ではありませんが、彼女は見事にその三つを成し遂げられた人生なのだと思います。息子さんから頂いた心あるお手紙を繰り返し読んで、Aさんは4人のお子様の人格を立派に育てられたのだと思いました。

Aさんは人付き合いにおいても緩急を心得ていて、その凛としたご印象がいまだに忘れられません。

Bさんは私が二十年以上教えを請うたお抹茶の先生です。初心者の私に厳しく、又優しくご指導頂いた最初の先生は、私が34歳の時に70代で逝ってしまわれました。しばらく呆然としていましたが、私はまだ道半ばです。お抹茶仲間の友人に先生を推薦して頂いて、再びお稽古を始めました。

B先生は、優しい眼差しの和服姿の美しい方です。お点前の間には色々私の悩みなど聞いて頂き、楽しいお稽古でした。先生のお人柄か、同門の方々も皆それぞれにお優しくて私は随分可愛がって頂きました。その先生が、私が人間関係で落ち込んでいた時に「人は死ぬその瞬間まで分からないものなのよ。あなたはまだ若いんだから元気を出して。」とおっしゃいました。

それは人生は変化に満ちていて、希望も充分にあると言う事です。その言葉は力強く私の心に残りました。

お抹茶のお稽古をしているところです

人目は私の伯母です。今年百歳を迎えます。伯母は従兄弟と二人で暮らしています。伯母の口癖は「私は本当に幸せよ」です。話していると、息子が本当によくしてくれる、と心からの感謝の言葉が何度出てくるか分かりません。伯母達を見ていると、「幸せとは何か」と考えてしまいます。

伯母は色白であまりシワも目立たず、70代にしか見えません。30代で外国人専門の洋裁店を経営していたせいか洋服のセンスが良く、私は20代の頃には、伯母にねだって頂いたお下がりのコートを長く愛用していました。ある時長女へと、外国製のベルベットの生地で作ったトルコブルー色の伯母手作りのワンピースを頂きました。そのワンピースは採寸した訳でもないのに、まるで測ったように娘の身体にピッタリなので驚いた事があります。

伯母は昔から人の為に尽くす事に喜びを感じ、物にこだわらない人でした。明るい人で、一緒にいたらいつもこちらまで楽しくなります。

現在、99歳の伯母は健康ですが、私の事がもう思い出せないようです。私が姪だと名乗っても、「知ってる人のように思うけど」と頭を傾けます。従兄弟が「もうお母さんは使わないから、良かったら使って」と、オーストリッチのバッグを出してくると、それを見て「貰ってくれる人がいて良かった。」「良い人に貰って頂いて良かった。」と、とても喜ぶのです。私が頂くのに、何だか良いことをしているような気分です。今、私はこのバックを愛用しています。もっともっと長生きして欲しい大好きな伯母です。

いつも感謝の心を忘れず明るく楽しそうな伯母を見ていると、長生きも良いなと思います。


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