梅雨入りは、毎年日にちが決まっている訳ではありません。いやに雨や曇天の日が多いなと思っていると「梅雨入りです」との報道があり、「ああ、やっぱり」と納得します。今年も沖縄や九州が梅雨入りしたとの事です。梅雨入りの最初の日の事を「入梅」と言います。天気予報がなかった江戸時代には田植えの日を決める目安としていたようです。この二十四節気の一つとされる「入梅」は今の暦では6月11日か10日になります。
この様に「梅雨入り」と「入梅」はニュアンスが少し違います。
子供の頃、私は雨が大好きでした。お天気の日より心が落ち着くように思いました。特に雨音を聴くのが好きでした。
仕事をするようになってからは、雨の日を鬱陶しく思っていました。忙しさの余り傘をさすのもまどろっこしくて、雨を振り払うように駆け出す日もありました。
そして今、また雨を楽しんでいます。その雨に映える花と言えば「紫陽花」です。
色んな場所に紫陽花を見に行きました。北鎌倉の明月院、長谷寺の紫陽花など素晴らしかったのですが、圧巻は下田の紫陽花です。山一つが丸ごと紫陽花です。品種も覚えられない程あります。この紫陽花を見るために2年続けて通いました。でも、最初に下田を訪れた時に見た雨上がりの紫陽花が最高でした。機会があれば一度お出かけになって見て下さい。紫陽花の中から顔を出して妖精にでもなったつもりで写真を撮ると言うのはどうでしょうか。
この時期になると日本各地で紫陽花は見られると思います。青い紫陽花には「辛抱強い愛情」、ピンクの紫陽花には「元気な女性」、白い紫陽花には「寛容」と言う花言葉があるそうです。心も萎えそうな雨の中、ただ紫陽花だけが美しくシャキッとしている姿からは元気をもらえませんか。
下田には少し離れていてバスか車になりますが、白浜と言う海水浴場があります。ここで見る遥か彼方まで広がる太平洋の雄大さ、海の青の美しさはたとえようもありません。晴れて風がある日にはウインドサーフィンを楽しんでいる人達を多く見かけます。また、近くの「白濱神社」は縁結びの神様として人気があります。神様は海の向こうから来られたと言われ、そのご由緒はロマンに満ちています。
梅雨にちなんでもう一つ。俳句をたしなんでいた母は「黒南風(くろはえ)」と言う言葉を教えてくれました。梅雨の初めの頃の黒い雲・暗い空、その頃吹く南風の事を言うのだそうです。そして梅雨明けの頃吹く南風を「白南風(しらはえ)」と言うとも習いました。
母には、花の名前を沢山教えて貰いました。今は娘達に、母に倣って花の名前を教えています。今時分花をつけ、生垣にも植えられる事の多い「アベリア」という植物がありますが、母は「アベマリア」の「マ抜け」と覚えると良い、と教えてくれました。私の住んでいる所にも周りに植えてあります。今も小さなかわいい花をつけています。アベリアが花をつける頃になると、その言葉を教えてくれた時の母の笑顔を思い出します。
亡くなる時まで勉強家だった母は、私にも「人間、死ぬまで勉強よ。」とよく言っていました。野草事典を始め、分厚い広辞苑をテーブルの下に置いて、取り出しては読んでいました。その姿が今では懐かしく思い出されます。
今回は雨の日に読書でもしながらお聴きいただきたいと、MAIさんのジャズピアノで「Tea for two」を演奏してもらいました。お楽しみ下さいませ。
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