12月も半ばを過ぎると、蓋付の塗り物のお椀や塗盆などを奥から出して、お正月の準備をするのが我が家の恒例です。
お雑煮などをいれる晴れの時に使う塗り椀は、我が家にとっては普段に使わないちょっと特別な器です。でも、塗り蓋を開けた時、お餅やかまぼこ、三つ葉など色とりどりの具材の上に松葉に切った柚子から良い香りが漂った瞬間、お正月だと実感させるのはこの塗り碗のおかげだと思っています。
ところで、塗り椀と違い、お盆は比較的メジャーなお道具ですね。わが家では、キッチンからテーブルまでのお運び用としてお盆(これは東南アジアのお盆です)を、年間を通じて使っています。
お盆には生地物((キジもの)と言って生地に漆(うるし)を塗ってないものや、生地に漆を塗った塗盆などの色んな種類があります。
デパートや雑貨屋さんを覗くと、カラフルなプラスチックのお盆も並んでいます。海外のモノも含めると本当に種類も形も豊富です。イタリアのトレイ(お盆)なども素敵です。お盆というイメージではなく飾り盆として使っても良いですね。
お盆に限らずお道具は、どのようなモノでもお手入れ次第で、美しくなる事をご存じでしょうか?使ったらその都度拭く、それだけでもいいのです。
特に日本の白木のお盆やお道具の場合には、使う前に充分に濡れた布で一度拭いて、乾かしてから使ってみてください。お盆にあとが付きにくくなります。これも又、拭きこまれて手を入れたお盆は、生地自体の艶を増し、味のあるお盆やお道具に変わっていきます。
さて、漆を塗った塗盆の場合です。塗りにも色んな種類がありますが、特に扱いが難しいのは、真塗り(しんぬり)と言われるモノです。
塗りが良くできているかどうかは、お盆を斜めにしてみて凸凹なく均一なものがどうか光を当てて見ると良い、と私はお煎茶の先生に習いました。
この塗り盆の難しいのは拭いた時、指あとがついてしまう事です。それを無くす為には、拭き込みの最後に自分の指紋がつかないように絹布を両手に持ち、表も裏も絹布で拭き込んでみて下さい。鏡のようになりますよ。私は使い古した小さいシルクのスカーフなどを洗って専用にしています。
お盆だけではありません。どんなお道具もあなたが手をかけた分だけ、時を得て艶やかな美しさを生み出していくものです。
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