「祈り」について

Moonlit sea

『BACH プレリュードBWV846』by Pianist MAI

 

夜空を見上げる事はありますか?

そこには日々形を変えながら浮かんでいるお月さまがいらっしゃいます。私は星を見るのも好きですが、いつもお月さまが気になります。

凍りつく様な冬空に張り付くように見えたお月さまは、春になり暖かさが増すにつれぼんやり霞んで朧月(おぼろづき)になります。

夏の月は、いにしえに於いて昼間の暑さを忘れさせる涼の一つであったとか。そして最もお月さまが輝きを増す秋が訪れます。所によっては観月会なども催されますが、近寄り難いような高貴な輝きが心を射るようです。

じっと見つめていると、あまりの美しさに私は引きこまれてしまい、思わず手を合わせています。その時、私の心の中には何の言葉も浮かびません。気がつけば、ただただ祈っているのです。私はまるでお月さまに抱かれる子供のようです。心が何かに満たされてくる。

それは、何でしょう。その何かをあえて言葉に置き換えるなら「深い喜び」でしょうか。

「祈り」とはその様なものではないかと思うのです。

 


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