秋の虫

秋の富士山です

都会に住んでいると、自然は遠くにあるように思われがちですが、そんな事はありません。夜道を歩いていると、カネタタキの特徴ある鳴き声が耳に飛び込んできます。コオロギ、マツムシ、スズムシ耳をそば立てて何と言う名の虫だったかしら、と考えます。風が冷たく感じられるある日、マスクをちょっとずらしてみると金木犀の香り。これは確実な秋の到来です。

秋の虫と言えば忘れられない思い出があります。私の実家は山の麓にあり、ご近所からもちょっと離れています。夜も遅くなって、お風呂に入った時の事です。

虫のコーラス、虫のオーケストラ。そのような可愛い言い方ではこの時の状況を説明することはできません。まるで何十万匹と言う秋の虫たちの大音声、大音響が山の上の方から降って来る、迫って来るとでも言うのでしょうか。もう何の虫なのかさえわかりません。その音量は壮大で怖いくらいです。私は温くなった湯船にじっと浸かりながら、その虫達の声に打たれ続けました。

あなたも五感を使ってもっと自然を感じて見られてはいかがでしょうか。

例えば足元を見つめると、コンクリートの間から名も知れぬ野草が顔を覗かせ、かわいい白い花を咲かせているかも知れません。

空を見上げてみて下さい。仕事の事や何かで頭を悩ます問題を抱えていたら、無理やりにでも空を見上げてみて下さい。昼間の空には、雲が浮かび気ままに流れてゆきます。

夜空には月が輝き星が瞬いています。私はおおいぬ座のシリウス星が好きで、秋になると南の空を探します。この星は比較的大きいので見つけやすいのです。まるで語りかけてでもいるような光り方に何か声を出して応えたくなる時もあります。今の季節には南の空高く秋の四辺形ペガスス座が見える頃でしょう。でも残念な事に、都会の空は余程条件が良くないと、なかなか星を見つけるのは困難です。ですが、星々は悠久の時を越えて来ていつも心に届く瞬きを見せてくれているのです。

近くの公園のブランコに座って揺らしながら、周りの樹木を見回してみて下さい。木々は自然の移り行く姿を知らせてくれます。

ワレモコウに止まったトンボです

コロナ禍ではありますが、あなたが息詰まることのないよう、たまには肩の力を抜いて、あなたを包んでいる自然に目を向けることは必要だと私は思います。自然は静かな答えをいつも用意しています。


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