行く春:穀雨(二十四節気)の意味

美しい藤の花です。

二十四節気、春の最後は「穀雨」(こくう)です

その意味は「春雨が降って、百穀を潤す」、この「百穀」とは色々な穀物の事です。その穀物を潤すように恵みの雨が降ると言う意味だそうです。今月の20日がその日に当たります。もともと「春」(ハル)を調べると、「万物が発る」「草木の根が張る」「天候が晴る」「畑を墾る」などの意味があるようです。全て「ハル」と読ませますから、温かな春を待ち侘び農作を始めようとする昔の人の心持ちが表現されている言葉だと言えます。この「穀雨」の頃は字のように雨の多い季節です。この雨で咲き誇っていた花々が散り、草木の緑が一気に勢いを得て空に向かうように伸びてゆくのです。

しかし、今年の春の代表である桜は異様でした。花は半分くらい残っているのに、もう葉が伸びてきているのです。桜ばかりではありません。公園で枝を伸ばす「コブシ」の花も3月になりやっと花をつけ始めたと思ったら急な冷え込みでその勢いが止まりました。そして暖かさが戻って満開になったら数日で散ってしまいました。毎年、多くの方の写真撮影で賑わうのですが、今年はあまり注目されませんでした。そして、もうすっかり緑色の若葉です。そして「穀雨」を先取りしたように雨の多い日が続いています。樹木も草花も気候に従順なのです。気候のリズムが崩れれば、自然界のリズムが狂う事は明白です。

穀雨の頃は四月も末にあたり、晩春です。

「行く春」と言う言葉でも表されるように、過ぎゆく春を惜しむ気持ちがあります。また、農家では種蒔きに適した時季にあたり、所によっては田植えの準備や茶摘みも始まります。季節に寄り添って生きていた昔の人々の農耕風景が浮かんできます。

晩春と言えば、藤の花の美しい季節ですね。

近くの神社までの道すがら、藤の花を丹精されて育てていらっしゃるお宅があります。藤の花房は30センチ以上と見えるものもあり、全体が優雅に揺れる姿は圧巻です。藤の花の異名は「二季草」(ふたきくさ)。春から夏にまたがって咲くからです。藤は日本固有種、つまり日本だけに分布しています。日本の代表の花といえます。昨年は残念な事に私がそのお宅を通った時、藤の花は終わりを告げていました。今年は是非あの雅な姿を拝見したいと願っています。

牡丹が大輪の花を開花させる頃でもあります。

美しい女性を表現する時「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」などと申します。ただし、花の終わりが芍薬は花びらがパラパラっと散っていきますが、牡丹の花びらは一度にどさっとくずおれるように落ちてしまうのが見事すぎて、かえって残念に思われます。

このように二十四節気の春は優しい雨に彩られながら夏へと移行していくのです。


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