淑女のたしなみ:懐子(かいし)の使い方

様々な懐紙です

2022年の9月に「懐子を素敵に使う」と言うタイトルで茶道の必需品「懐子」について書きました。私のブログの中でよく読んで頂いている記事のひとつです。おそらく、「懐子」と言う言葉があまり周知されていなかった事やその言葉を耳にしても結婚式などの特別な行事の時だけだったりするからでしょう。ここで、「懐子」について書き足りなかった事などを踏まえて書きたいと思います。

ところで、その後「懐子」をお使いになってみられたでしょうか?

以前にも触れましたが、「懐子」が使われ出した時代は古く、平安時代の中期ごろからです。まだ紙が貴重だった時代、貴族が現在茶道用として普及しているものより大きめの紙を折りたたんで懐に忍ばせ、メモの代用や和歌や漢詩などをしたためていたのが始まりです。この時分は「たたみがみ」と呼ばれていました。その伝統ある「懐子」は貴族たちの身だしなみの一つだったようです。

私たちが茶道で使う「懐子」は、女性用で縦175mm×横145mm、男性用縦205mm×横175mmで当時より小さく、携帯しやすいようになっています。

「懐子」は「小菊紙」とも言われ、和紙です。私は茶道を学ぶことで「懐子」を知りましたが、「懐子」を持つことは、昔から淑女のたしなみだったようです。私は懐子の間に硫酸紙(和菓子の湿りを次の紙に伝えない)を挟み、常にバッグに入れております。「懐子」は、食事に招かれ、遠くにあるお料理を落とさないよう口元まで運ぶ時小皿の代わりとして、口元を隠したい時、箸置きのない時たたんで箸置きの代わりに、又残したお菓子を持ち帰る時包み紙として、その他メモ変わりやお金をちょっと包む時(心づけなど)などと、このように少し考えただけでもその使い道は多用です。もちろんお料理の天ぷらを乗せる時や和菓子をのせる為にも使います。お茶のお稽古にはもちろんですが、特にお茶事では、お菓子を頂く時だけではなく器を拭いたり、残り物を包んだりとなくてはならない必需品です。私は「懐子」を食器棚の菓子鉢の横にも常備しています。

私は煎茶道で「懐式」(かいしき)として特別に折り方を学びました。

折り方のいくつかは先のブログで写真にして載せています。簡単なものばかりですので、ご参照下さいませ。気をつけて頂きたいのは、吉事用と凶事用を間違えないようにする事です。お祝いの席で凶事用の折り方をした懐子の上に美味しそうな和菓子が乗っていても祝う気持ちが萎みます。懐式の形は吉事用が二つ折りの場合、上側の左肩が上、右肩が下になります。また、凶事用は二つ折りにした上側の左肩が下、右肩が上になります。また、吉事用はおめでたい事が重なるように紅白の二枚重ねにする事もあります。

私は、他にも金銭包や箸袋の折り方などを習いました。今は文具店に行けば、金銭包を知らなくても、吉(祝い事)・凶(仏事・法事など)のお金を入れるのし袋があります。私は半紙を使って、金銭包の吉事用と凶事用の折り方を習いました。ところで、和紙にも格式があります。その順番は婚礼などに使われる「檀紙」(だんし)、市販されているご祝儀袋などに使われている「奉書氏」(ほうしょし)、書道でも使う「半紙」そして茶道で使われる「懐子」です。半紙をたたんで「懐子」代わりにお持ちになり、お使いになってもいいと思います。半紙は広げると、懐子より大きいのでお菓子を包む時など便利です。

懐子」に込められた先人の知恵を受け継ぎ、日常生活に活かして豊かな暮らしに繋げられたらと願います。


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