ご家庭に必要な食器とは(和陶入門編)

青磁をふちに巻いた鮎の紋様の磁器です。

私は縁あって陶磁器の企画をする仕事を得ました。その経験から、陶磁器の見方、器の選び方、現代の生活に必要な器とは何かなどについて、器にまつわる話を交えながら書きたいと思います。

私が仕事を始めた頃は、陶磁器を作っている人も販売している人もその企画をする人も、料理の経験のほとんど無い男性でした。つまり、料理をした経験のない人が、お皿や鉢などを作ったり売ったりしていたのです。買う人は料理を作り、使う女性がほとんどです。

当時は、陶磁器がギフトに使われる全盛時代が続いていました。

有名な作家が作った陶磁器は、頂いたギフトの中でも特別感がありましたが、ブライダルギフトや法事のお返しとして、好みではない湯呑みセットやお皿を頂いてしまう事が多くありました。

ギフト商品は往々にして使い勝手を考えて作られてはいません。目を引く商品であることが、第一条件なのです。

さて、家庭を預かる女性たちは、気に入らないお皿や鉢を頂いた時は、どのようになさっていたのでしょうか。洋食より和食が中心だった頃は、お皿や小鉢などの数が必要だったり、盛り鉢・大皿が必要で、とりあえずは気に入らなくても数の内だと思い、洗って使い始められた事でしょう。でも一通り数が揃ったら、増えた小鉢やお皿は、奥にしまわれたままになっていたのではないでしょうか。今も、押し入れや収納庫の奥に、そのような頂き物が眠ったままになっている事もあるでしょう。

ところで、焼物の基本の知識として知っておいて頂きたいのですが、焼物と総称される陶磁器とは陶器と磁器の事です。陶器は土(陶土と言われる粘土)で作られ、軽く叩いてみると鈍い音がします。磁器は石(陶石と言われる石を砕いたもの)で作られ、叩くと金属音の澄んだ音がします。もちろんそれぞれに焼きあげる温度も時間も違います。最近は半磁器と呼ばれる陶器と磁器の中間のような材質の焼物もあります。

陶器の抹茶茶碗です
陶器の抹茶茶碗です

私が取り組んだのは、窯元を回り、本当に必要とされる家庭で使える器を企画し、作ってくれる窯元を探す事でした。

さて、食器選びをなさる時、その用途で考えられた事はありますか。

例えば、口につける器かどうかを考えられた事はありますか。ご飯茶碗、湯呑み茶碗、盃などは口作り(唇が当たる所)の薄いものの方が、飲み物やご飯を美味しく感じさせると言います。もちろん、和風のマグカップ、紅茶茶碗なども口につけるものですから口作りの薄い方が良いと思います。

食器は使う方の好みが大きく反映されますので、言い切る事は出来ませんが、私はそう考えています。また、毎日使うものは、できれば重量の重いものより軽い器の方が良いと思います。

次回も陶器と磁器について話を進めたいと思います。


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