秋が来た!と感じる事の一つに、水の音があります。いつものミネラルウォーターをコップに注ぐと、響く音が違って聞こえませんか?透明感のある良い響きです。口に含んでみると甘く感じませんか?お茶も紅茶も、他の季節より一段とおいしく思うのは私だけでしょうか。
平安時代、薬草として飲まれていたお茶は歴史をつないで、私達の生活にすっかり溶け込みましたね。今はペットボトルのお茶が、簡易でとても便利です。ですが、
この季節はどうぞお急須を使って、丁寧にお茶を淹れてみてください。
基本的には玉露も煎茶もお番茶も、それぞれのお茶の種類に合わせてお茶の葉の量とお湯の温度に注意を払えば、お茶は美味しく淹れる事が出来ます。淹れ方は茶葉の外袋にも書いてありますし、ネットで調べても良いでしょう。
煎茶道での本格的な玉露の淹れ方をご紹介します。
玉露は専用の小さめのお急須や湯冷し、お猪口位の大きさの湯飲みを使います。
① 湯冷し、お急須、お茶碗にお湯を注ぎます。湯冷しには大体100cc程のお湯を入れます。(お急須やお茶碗にお湯を入れるのは器を温める為です)
② お急須のお湯を捨てます。そのお急須に茶匙2杯程の茶葉を入れます。煎茶道では茶合(ちゃごう)という道具を使い茶葉は茶入れから目分量で回し出しをしてお急須に入れます。
③ 湯冷しのお湯をお急須に入れます。大体温度は50度〜60度位です。煎茶道では、湯冷しの底に指を当て温度の検討をつけます。(温かいと感じる温度が目安です)
④ 湯飲み茶碗の湯を捨て、お急須のお茶を湯飲み茶碗につぎ分けます。多くてもお茶碗の三分の一くらいのお茶の量です。
小さめのお急須を使うのは、茶葉がお湯を含み蒸らすのに効果的だからです。玉露とは濃厚なエキスを頂くものです。ガブガブと大量に飲むものではありません。玉露の飲み方は小さな玉露茶碗に数滴注がれたお茶を口に含み、舌で転がすようにして味わうのです。
煎茶の場合はご自宅で淹れやすいやり方を書きます。
① 沸かしたお湯をお急須と煎茶茶碗に7〜8分目淹れます。お茶碗にお湯を淹れるのは、お湯の温度を冷ますだけではなく、お茶碗を温める事もでき一挙両得です。沸騰したお湯の温度を70度〜80度位まで冷まします。上煎茶の場合は湯冷しを使いもっと温度を下げます。普通の煎茶は器の底に指先を当ててみて少し熱いと感じるくらいの温度だと思ってください。
② お急須のお湯を捨てます。お急須に茶葉(一人に小匙1杯くらい)をいれ、お茶碗で冷ましたお湯を入れます。
③ お急須のお茶を茶碗につぎ分けます。お茶は一度で出し切って下さい。お茶を残しておくと二煎目を美味しく淹れられません。
番茶は食事の後などに飲むとさっぱりとして美味しいものです。
さて、番茶の淹れ方ですが、お急須もお湯呑み茶碗も大きめのものを使います。食後などでは特にたっぷり頂きたいからです。番茶はお湯飲みに八分目から九分目淹れます。茶葉は一人あたり小匙山一杯くらい使いますが、お湯は熱い沸かしたてを使います。コツと言えば、さっと手早く待たずに淹れると言う事です。お茶がどんどん濃くなるからです。寒くなったらお急須や土瓶、お湯飲みも先に温めて下さい。熱々をフーフー言いながら頂くのは良いものです。古くなった番茶は弱火で焙じてほうじ茶にして飲むと美味しいものです。私は子供が小さい頃、毎晩夕食後に番茶を焙じて飲ませていました。
お茶を美味しく注ぐコツをお教えします。
まず自分のお茶碗に少しだけ淹れて色を見ます。次にお茶碗の中で煎茶道では正客(主賓となる人)と言いますが、上司やお客様、ご年配の方、先輩、ご主人などのお茶碗に淹れてから順番に色と分量を見ながら注いで行きます。
ちょっとお茶の色が薄いようでしたらゆっくりと、色が濃いようでしたら手早く注ぎ分けます。そして全体が均一のお茶の色や分量になるよう心がけます。
また良いお茶の葉でぬるめのお湯を使わなければならないのに、お湯の温度が熱かった場合には、お湯を高い位置から細く出しながら(その間にお湯が少し冷めます)お急須に注ぎます。その時は丹田(おへその下辺りです)に力を入れて、お湯を急須に入れるとブレずに細く注ぐ事が出来ます。
お茶を更に美味しく淹れるコツは、と尋ねられたら、私は「愛情」と答えます。
ペットボトルでは難しいでしょうが、
気持ちを込めて、「愛情、愛情」と心の中で呟きながら、時間を要するお茶にはゆっくりゆっくり翡翠色のお茶を注いで見てください。
お茶と対話をしながらとでも言うのでしょうか。
あなたの心のこもったお茶は、きっと召し上がる方のお心に響く飲み物になるでしょう。
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