煎茶道ではお茶の種類に合わせて和菓子を選びます。
一番高級とされる玉露には、薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう・山芋を使っている)とか落雁(らくがん)などを合わせます。薯蕷饅頭は蒸したお饅頭とは違いしっかりしているので、黒文字(くろもじ)で切って頂きます。玉露や上煎茶を、上物の和菓子と取り合わせる事もあります。ここでは特に練り物(練り切りとも言います)など、季節をうつした芸術性の高い美しい和菓子を上物としています。
和菓子の一つ一つには、俳句のように季節を表現する名前がついています。
例えば春には「春うらら、桜、山吹」など、夏には「紫陽花、金魚、朝顔」など、秋には「名月、紅葉、秋模様」など、冬には「雪の華、椿、雪うさぎ」など、この他お店によって凝った意匠の名前をつけるところもあります。
お抹茶の席(特に裏千家)で初釜に出される「花びら餅」も上物の和菓子です。
お煎茶は万能で様々な和菓子によく合います。例えば羊羹やもなか、どら焼き、カステラなど。もなかやどら焼きなどは、手で割って食べます。
私は、玉露や煎茶のお稽古の時、季節の和菓子をよく使いました。春のお彼岸の頃は道明寺や桜餅、五月のお節句の頃の柏餅なども使っていました。
大寄せのお茶会(沢山の人を呼んでするお茶会)をした時は、自家製の茶巾絞りを作りました。さつまいもや栗を蒸して潰し、大きめの梅干し大に丸めてラップに乗せて絞ります。アクセントに黒胡麻や干し葡萄を上に乗せます。
黒文字を使わず手で割って食べる和菓子には他にもお煎餅やふかし饅頭などがあります。このようにざっくりとした和菓子や、お漬物、煮豆などはお番茶を淹れて合わせると口の中がさっぱりとしてお茶もお菓子も楽しめます。
このように、お茶とお菓子にも相性があるのです。
ここでお茶とお菓子の並べ方を書きます。ご飯茶碗と汁椀の並べ方を思い出して下さい。
ご飯茶碗は食べる人の左側、汁椀は右側に並べます。つまりこぼしてもすぐに手が動く汁物が右にくるのです。と同じように、お客様にお出しするときは、客の左に銘々皿(お菓子)が来るように、右にお茶が来るように出します。お客様に出す順序は先に和菓子、次にお茶です。
お菓子がない場合は、召し上がる人の中央にお茶を出します。
お茶の頂き方は以前に書きましたが、和菓子はお茶を一口頂いてから、次にお菓子を食べます。
上物の和菓子は黒文字で十文字に切り、手なりと言って右手に一番近い所から食べ始めます。ですから十文字に切った右下から食べ始めます。ただ「きみしぐれ」と言う和菓子のようにちょっとボロボロして崩れやすいお菓子もあります。この時は最後に指先でまとめて頂くと良いでしょう。その指先はお懐子やティッシュペーパーで拭きます。
そして又お茶を頂き、最初とは違う口中を楽しみます。二煎目のお茶を頂く時はこの和菓子が、薄くなったお茶の味を助けてくれます。
和菓子を盛って菓子鉢を出す場合は、テーブルの中央に起きます。菓子鉢にはお菓子に応じてお取り箸をつけておくと良いです。この場合も和菓子の種類によっては「懐子」や黒文字などをつけて出す事をお勧めします。(お客様が懐子を持参しているとは限りませんから)
*黒文字は一般的に馴染みがないかも知れません。黒文字の代わりに木製や塗りのフォークを使われても良いと思います。
*「このブログを始めた理由」のところで書きましたが、お抹茶にもお煎茶にも色んな流派があります。それぞれの考え方で多少私の習った事と違うやり方をする所もあります。
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