和の香り

今回は日本に昔からある和の香りについて書こうと思います。

和の香りと言うと何を思い出されるのでしょう。昔からご仏壇で焚かれていたお線香でしょうか。それとも、京都を始めとした古都で買い求めた匂い袋でしょうか。

今はお線香にも沢山の種類があり、アロマ感覚とでも言うのでしょうか、癒しのイメージでお部屋で燻らしている方もいらっしゃると思います。

和の香りと言うと私はお抹茶のお茶会などで炉の中の暑灰(あつばい)に入れて燻らす練香(ねりこう)や風炉(ふろ)で使う白檀(びゃくだん)の香りを思い出します。香りに味があると言うと変な表現ですが、練香にも様々な種類があります。

一方、煎茶道のお茶会では線香を使います。香炉は床の間の中央に飾るだけの飾り香炉にして、茶席から見えない所で吟味したお線香を焚きます。私は松栄堂の「微笑(みしょう)」と言う香りをよく使いました。今は様々な調合がなされ、お香を扱っているお店は沢山あります。有名な古刹でも扱っています。私は東京の鳩居堂で求めたり、京都の松栄堂から取り寄せています。

お線香をご仏壇で焚くものとお考えの方は、子供の頃から馴染みがおありだったのではありませんか。でも匂いが嫌いだったと言うのが大方の人の意見ではないでしょうか。私も子供の頃、お仏壇で祖母が焚く線香は苦手でした。特に頭痛のある時はその匂いで余計に頭痛が酷くなるようで嫌でした。我が家の場合は、毎日焚くのですから上等のお線香ではなかったのでしょうね。

私がお線香を見直したのは先に書きました「微笑」に出会ってからです。

日本のお香は全て伽羅(キャラ)、沈香(じんこう)あるいは白檀などの香木が原料となっています。伽羅は沈香の最高級品の事です。香木とは木自体が香る木の事で、日本最古の歴史書「日本書紀」にもその存在が記されているそうです。特に伽羅は希少価値が高く高額なので、なかなか手に入らないようです。元々この香木は日本産ではありません。採取できるところはカンボジア、ベトナム、インドネシアといった東南アジア地域です。

匂い袋も良い香りですね。着物を普通に着ていた時代には袂(たもと)などに忍ばせてすれ違いざまにほのかな香りを残したとか。平安時代には、着物に香りを焚き染める(たきしめる)事が流行っていたと源氏物語にもあります。やはり日本人は昔から香りに敏感な五感に優れた民族だったのでしょう。

私は毎月の家族の月命日には必ずお線香を燻らします。お部屋中に良い香りがするようにちょっと良いお香を燻らしています。

又、これは頂き物ですが、香木を九谷焼の箱に入れたのを持っていまして、蓋を開けるとその香木から何とも奥ゆかしい香りが致します。もう何年も大切にしていて楽しんでおります。

お茶のお稽古をしていました時は着物をよく着ましたが、やはり着物に西洋の香水は合いません。ですから着物をしまった箪笥の引き出しに匂い袋を入れて着物にほのかな香りが移るようにしていました。

そう言えば、今月は11月ですね。着物の虫干しには良い季節です。


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