二十四節気ではありませんが、雑節(季節の移り変わりを捉えた暦のこと)に「半夏生」(はんげしょう)と言う言葉がある事をご存じでしょうか?今年は7月1日とされていますが、大体7月2日から7日の七夕までの頃を言います。
農家では昔、この日までに田植えを終わらせる目安にしていたそうです。但し、良い意味ばかりではありません。この時季の雨は「半夏雨」とも言い、「天から毒が降ってくる」と言う、ネガティヴなイメージがありました。実はこの時季の雨は大雨になる事が多く、農作業の観点からは要注意だったからです。
ところによっては、この時期「ハンゲ」と言う妖怪が徘徊する(三重県)、めったに咲かない竹の花が咲くので竹林に入るな(埼玉県)、妻恋村ではネギ畑に入るのはタブー(群馬県)、また井戸には毒が入るから蓋をしろ、と言われていたと言う言い伝えがあります。それはこの凌ぎにくい時期、水や食中毒に気をつけようと言う事ではないかと推察されそうです。「物忌の日」として「半夏生」の5日間は農作業を休む地域もあったと言います。それは、田植えが終わり一段落し、体を休める休息の意味だったのかも知れません。
「半夏生」と言う言葉は一説に夏至の頃に咲くドクダミ科の薬草「半夏」(カラスビジャク)の事を意味した、「半夏生」(半化粧・カタシログサ)の葉がこの時期に半分白くなり、まるで半分化粧をしているようだと言うので使われた、とする説などがあります。
ところで、この鬱陶しい時季にお勧めの食材はやはり「蛸」(タコ)です。
そのわけは「夏至」のところでも書きましたが、「田んぼの苗がタコの足のようにしっかり根付くように」と言う事で食したと言われ、いかに農家の人が実り豊かに作物が育つ様に自然への願いを込めていたか想像できます。
「タコ」はどの様にして召し上がりますか?
私はお刺身だけではなく、カルパッチョにして頂きます。季節の野菜を細かく刻み、ドレッシングに混ぜます。それにタコをマリネしてしばらく馴染ませて頂きます。白ワインにも合います。この時期、地域によっては収穫されたばかりの小麦を使った「うどん」を食べるとか、脂の乗った「鯖」を焼いて生姜醤油で頂くと言うところもあるようです。
なお、京都の古刹・建仁寺両足院の庭は「半夏生」の白が見事だと聞きます。
私はまだ見たことがありませんが、機会があったら行ってみたいと思います。半夏生が咲きそろっている姿はさぞ幻想的に見える事でしょう。
京都と言えば、八坂神社の祇園祭が7月1日から1ヶ月にわたって開催されます。
特に17日の前祭・山鉾巡行(やまほこじゅんこう)と24日に行われる後祭・山鉾巡行が祇園祭のメインと言われます。私はこの時期、祇園祭の小さな土鈴を飾り、その音色を楽しみながら平安時代から続いていると言う祇園祭の様子を想います。
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