10年以上前の事です。馴染みにしているビストロで、クリスマスディナーをする案内を頂きました。予約をし、家族で出かけました。店は満席です。隣の席のご夫妻、とりわけご主人の食べっぷりの見事さに、思わず声をかけました。「こちらには随分お通いですか?」「約22年になります。」との応えです。私達より数年長いと分かりました。それから二言三言、言葉を交わして別れました。
翌年、私達は旅行に出かけ、クリスマスディナーを欠席しました。
ご夫妻に出会って三年目のクリスマスディナー、いつもながらの工夫を凝らした料理の数々に、舌鼓を打ったのはもちろんの事ですが、私たちの隣の席があのご夫妻でした。ご主人が「昨年もいらっしゃると思い、実はプレゼントを用意して待っていたんです。」と、残念そうにおっしゃいます。そして、今年はお会いできて良かったと。
初めてお名前を伺いました。よもやま話に花を咲かせ豊かな時間を過ごし、プレゼントを頂いて帰宅しました。
どこにお住まいなのか、どんなお仕事をされているのかも分かりません。ですが、毎年12月になると、ビストロに電話をし、店長に日時を合わせて頂いてご一緒に食事をするのです。その一年の間に出かけた旅行の話や食べ物の話など、話題が尽きることはありません。
そしてプレゼントを交換して一年が終わって行くのが、いつしか我が家のイベントになりました。
長く通ったビストロが、移転になりました。私が体調を崩した事もあり、グズグズしている内に、コロナ禍で外出規制となりました。せめて年賀状だけでも出したいと思い、店長に連絡して、やっとご住所を伺いました。すると、ご夫妻から、渡す予定だったとプレゼントが届きました。
今年も暑中見舞いの葉書を出した数日後、「いつもありがとうございます、の思いを込めて」と言う添書きと共にアイスクリームが届いたのです。
不思議なご縁とでも言うのでしょうか?このような出会いもあるのです。
ESPOIR 〜希望〜をもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
コメントを投稿するにはログインしてください。