春の色と言えば、ピンクや黄色。そしてピンクと言えば、まず桜をイメージしますね。レンゲ畑もピンクですが、明らかに桜のピンクとは違います。桃の花の色はピンクと言うより桃色と言った方がピッタリくると思いませんか?このように一口にピンクと言ってもさまざまです。ピンクは似合わない、と思っている人でもサーモンピンク(少しダークなピンク)なら顔に映る人もいます。
私が色について学んだのは、カラーコーディネーターと言われる人が出始めた頃です。私も仕事上、印刷会社の人とやり取りする関係から、詳しい色の知識が必要でした。カラーコーディネートの勉強を始め、どのくらい理解したかを知るために資格試験を受けました。その為の学校もあるのですが、忙しくて通えず、自宅で毎晩1時間ほど勉強しました。3級・2級は楽に受かりました。準1級まで自分の力で受かりましたが、1級には5点足りないとの連絡がありました。カラーコーディネーターになりたいわけではありませんでしたので、再挑戦はしませんでした。でも、この勉強が仕事には大いに役立ちました。
まず、印刷会社との交渉が変わりました。カタログ商品のカラーの指示が的確に出来るようになったのです。商品のコーディネートも色彩が頭に入っているので、今までとは違った趣向に富んだものにまで挑戦しました。アイデアだけでは相手への説得力に欠けるのですが、カラーを勉強したお陰で仕事にいっそう自信が持てるようになりました。
最初にピンクのカラーバリエーションについて書きましたが、これにはこんなエピソードがあるのです。
私はプロフィールで紹介させて頂いたように、長年お抹茶やお煎茶、礼儀作法などを学んできました。ある時、お抹茶仲間(大体70代)の話で「この年になると、ピンクが似合わないのよね。」と、おっしゃった方がありました。当時、私はお社中(同じ先生についている人の集まり)で最年少だったのですが、「そんな事はありません。どの色も必ず似合う色がおありのはずです。」「ましてや、ピンクは肌を美しく若々しく見せますよ。」と言ってピンクのカラーバリエーションの話を致しました。次のお稽古日にピンクのスカーフを上手に巻いてこられた方がいて、「挑戦してみたの。」と、嬉しそうにおっしゃいました。
色相環(しきそうかん)と言う色の代表を集めて輪にしたものがあります。なかでも「黄」は最高に明るい色でこの色相環の真上にあります。例えば、この純粋な黄色に白を少しずつ加えると柔らかさを増した優しい黄色に変わっていきます。また、黒を加えていくとダークな黄色に変化していきます。つまりどの基本色にもバリエーションがあり、その中には必ず自分にピッタリくる色があると言うわけです。
専門的なことはさておき、明治生まれの祖母の趣味の話をさせて下さい。
祖母は何代も続いた呉服屋のお嬢さんとして育ちました。江戸時代、大名に長袴などを納めていた大店だったそうです。この話は、また別の機会にするとして、祖母は私が物心ついた頃に、よく端切れ(着物を裁った残りの布)を同じ寸法で真四角にハサミで切っていました。この切った布を畳の上に並べて彩りを考えていました。それを縫い合わせ、座布団や布団の表にするのです。祖母の布の取り合わせは、モダンだったり可愛かったり、お洒落だったりしてすごく素敵でした。私に子供が産まれた時、ベビー布団を作って贈ってくれました。優しい黄色やピンクのパッチワークでした。祖母が亡くなった今もその布団を捨てられずに持っています。
私たちは色に囲まれて暮らしています。
どの色にも美しさや良さがあり、意味があります。嫌いだと思っていた色でも、年齢が変わると似合うようになることもあります。色を上手に使いこなして、もっと楽しく、生活スタイルをランクアップする事ができます。
色に関して臆病になることはありません。パワーのある色をまとえばパワーのある自分に変身した気分になります。トップスやボトムスが無理だったら、下着やナイトウェアに取り入れたらいかがでしょうか。ご自分だけの楽しみを増やす事が出来ます。
あなたの好きな色は何ですか?
最初は身に付けるものから考えると良いのだと思いますが、好きな色がもっと似合うように反対色やちょっと近いけれど色味の違う色でアクセントをつけるなど冒険してみるのも良いと思います。
私は年齢を重ねるごとに、恐れずにもっと明るい、綺麗な色に挑戦したいと思っています。心まで晴れやかになるように。
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