今、まさに子育て真っ最中と言う方がいらっしゃるでしょうね。子供が小さい時は振り回される事が多く、もういつまでこんな状態が続くのかしらと、ご自分の子供であっても少々うんざりなさっているお母さんもいらっしゃるでしょう。
子育ての終わった私が今思いますのは、子育ての期間はそんなに長いものではなかったと言う事です。
うんざり感じている方は、子供と密に接しているせいで子供のエネルギーに圧倒され、重く感じているのではないでしょうか。
私は長女を27歳で出産しました。初めての子育てに私もかなり力が入っていました。
当時、暮しの手帖社の出版だったと思いますが、「スポック博士の育児書」という結構分厚い育児の本があり、お腹が大きい時から熱心に読みました。アメリカと日本では民族的に考え方が違う事もあり、発熱ひとつとっても処置の仕方が全く違うので、取り入れられる所ばかりではありません。でも、読んでいるうちにそんなに神経質にならなくても良いな、とか子供の成長に合わせて育児のポイントを考えようと思うようになりました。あと漠然と思っていた事は、子供にあった表現する手段を何か見つけてあげたい、と言う事でした。でも、子供が乳児の時は私の体力勝負と言ったところで、少し大きくなると、歩くのが遅いとか言葉がなかなか出てこないとかの一喜一憂の毎日でした。
そのような時に考えた3歳までの私の子育ては、健やかな成長だけでした。
何せ無防備な幼児ですから、危険を知りません。先に進めば落ちると言う事やこれは熱いもので火傷をするという事を知りません。ですから、危険が何であるかを教えようと思いました。又、善悪の区別を段々に教えていきました。普通に言われている例えば、人の物は取ってはいけないとかそのような事です。でも幼児には説明するだけではわかりません。ですから何かをした時に、例えば私に黙って私のお財布を持った時に「ママの大切な物だから、黙って持っていってはダメよ。」とか言うように、教えるようにしました。わからなくても、何故私が怒った顔をしているのか理由を言うようにしたのです。
そんな時、知人に「子供の舌は3歳までに作られるのよ」と言われ、私は五感の基礎だと思い、お出汁は鰹節を削るところから始めました。この削る様子が面白く映ったのか、長女はお手伝いに興味を持ちました。5、6歳になると鰹節を上手に掻けるようになっていました。今はそんな事をしなくても、茅乃舎の出汁など良いお出汁が沢山ありますね。
長女が3歳になる頃、次女が生まれました。すぐに周囲の大人の視線が長女から次女に移りました。皆は競って次女をあやそうとします。私の母は長女に「もう大きいのだからママから離れなさい。」と、厳しく言います。しかしそんな時、私は次女を皆に預けて、長女を抱きました。大きいからと言う理屈は子供には通用しません。長女は突然の次女の出現に困惑しているのです。居場所を無くしたと不安なのです。
子供の心は大きい子、小さい子という物差しでは図れないのです。気付かされた瞬間でした。
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