長女は5年生になると、「ママ、私バレエを辞めて良い?」と突然言い出しました。理由を尋ねると、バレエは私には向いてないと思う、ピアノの方が好きだからもっとピアノの方を練習したいと言うのです。少し猫背だった長女の姿勢を良くしたいと思い、私は3歳からバレエを習わせていました。子供なりに自分の事をよく観察して、色んな事を考えているのだなあと感心しました。この頃長女はピアノがかなり上達し、学校の演奏会などでは必ず伴奏を任されるようになっていました。結局二人で話し合って、バレエを始めて10年目の6年生まで続けようと言う事になりました。
その少し前の事ですが、近所の子供達に仲間はずれにされて、泣いて帰ってきた事があります。
「今は仲良くなれるお友達が出来ないかもしれないけど、きっといつか本当の友達ができるから。」と私は長女を抱きしめて励ましました。
そう言えたのは、ある経験が私にあったからです。
私は小学生の頃、親しかった友人とよく喧嘩をしました。友人を我儘な人だと思っていました。恐らく私も負けず嫌いで引く事のできない子供だったと思います。大人になって再会した時、彼女は思慮深く思いやりのある、良く気がつく女性になっていました。社会に揉まれて、お互いに私達は互いの良さが分かる大人に成長していました。
子どもにとって人生はこれからです。長女には長女に合った友人がきっと現れると私は思いました。
次女と言えば、相変わらず明るく心身ともに元気に育っていきました。学校から戻ると、大抵本を読むか工作をしていました。物を作る事が好きなようです。私にもお誕生日にブレスレッドとリングをプレゼントしてくれました。シャーベット色の美しいものです。これどうしたの?と訊ねるとプラスティックの縄跳びの縄を細かく切って繋ぎ合わせて作ったと言うのです。そのアイデアに驚き、また心遣いを嬉しく思いました。今でも私の宝物として大切に仕舞っています。
家での次女はこのように何かを作ったり、「ダンゴムシ」に興味を持ってビンに入れて飼ってみたり、寝転がって本を読んだりと自由気ままで忙しそうでした。勉強をしている様子が全く無いので、ある時「宿題はすませたの?」と、聞くと「宿題は学校ですませた。」と言うのです。
子供の頃は色んな経験が一番大切と考えていましたので、勉強についてはそれ以上何も言いませんでした。
そう言えば、私の記憶の中の次女の一場面はグランドピアノの下で遊ぶ姿です。居心地が良かったのでしょうか?姉の弾くピアノを聴きながらよく本を読んでいました。余談ですが、ピアノの音を聴いていたせいでしょうか?次女は自在に音程をとることが出来ます。姉妹で2部合唱するのを聴くのは私には楽しいものでした。
次女の3年生の担任の先生はご年配の男性でしたが、子供たちに向かう姿勢が優しくて、次女も慕っていました。3年生も終わろうとする頃、一生懸命紙を折って何かを作っているので、何を作っているのかと聞くと「先生にあげるの。」と言う答えです。見ると、紙を折って立体的に作った「キリン」でした。学校を去られる先生に、図工で褒められた同じ物を差し上げようと思ったようです。
親のちょっとした言葉で子供は元気になったり、明るくなったりします。私はいつも、子供の良いところを見るように努めていました。でも親の仕事で一番大切な事は抱きしめてあげる事です。幼児にはハグが大切と申しましたが、子供が本当に巣立つまで言葉だけでなくハグもやっぱり必要です。
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