最近、文字をお書きになった事はありますか?
学生時代には必需品だった「筆記用具」。ペンケースの中には鉛筆、消しゴム、シャープペンシル、ボールペン、万年筆などが入っていました。社会人となった今でも、手元に筆記用具を残しているという方は少ないのではないのでしょうか。ボールペンや万年筆を持っていたとしても使う機会はすごく限られているのではありませんか。現在の主要なツールはスマートフォンであり、パソコン、あるいはアイパットです。このようなツールは確かにとても便利です。タップするだけですから。
仕事以外で書く事の代表は手紙やハガキ、手帳、日記などです。
いまや手紙やハガキの代わりはメールや電話、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS) が主流です。手帳や日記も手書きをする必要は無くなりました。昔は小学校から授業に「書道」と言うのがありました。今も小学三年生になると「書写」と言う授業があります。この授業は言語能力を高めると言う目的で字形の正しさや読みやすさなどを中心に進められ中学生まで続きます。そして高校生になると、書道は芸術表現や自己表現の一つとして選択科目になるようです。
本来、書道は墨を擦る事から始めます。この擦るという単純作業が心を落ち着けると言われました。
現在も墨を擦る事から始めるのでしょうか?墨汁という便利なものがあります。ところで、筆に墨をつけ真っ白な半紙に向かう時、一瞬厳粛な気持ちになりませんでしたか?私はふとその気持ちを思い出す時があります。
「年賀状」さえ書く人が少なくなりました。
郵便局で扱っていた「暑中見舞い」のハガキは需要が減り、無くなりました。言葉を返せば、「年賀状」や「暑中見舞い」と言ったご挨拶はメールや電話で充分だと考えられているのでしょう。コミュニケーションという観点からはそれで用が足りるかも知れません。でも書かなくなると、途端に文字が下手になる、とご存知ですか。小学生の頃に「字がお上手ね。」と言われた方もだんだんと腕が落ち、久方ぶりに「芳名帳」などに記名の折には、こんな筈ではなかったと気落ちする方が多いと聞いた事があります。
昔、私は年賀状400枚の手書きをしていました。その上、実家の母から頼まれて100枚、合計500枚筆ペンではありましたが、書きました。結構大変なので、誰かに変わってほしいと思った事もあります。でも、そのお陰でしょう。今では書くことがあまり苦になりません。書くことについては、お習字の先生をしていた方に「とにかく書きなさい。上達の秘訣はそれしかありません。」と言われた事にあります。又、お煎茶の先生に「書くことは字の上手、下手にかかわらないのよ。」と教わりました。その文字にかけた気持ちが大事だとおっしゃったのです。
亡き父の思い出の一つに書く姿があります。
父は亡くなる前、入院していた時も一日の予定をスケジュール帳に書き留めていました。生前、「歳を重ねたら、特に一日のリズムを大切にしなさい。」と言われました。確かに文字にすると、今日と言う日がはっきりと気持ちに残ります。父には聞きませんでしたが、そう言う意味だったのではないかと推測しています。
シャーペンでもボールペンでも構いません。書いてみませんか?
そういえば、一頃「写経」がブームになりましたが、書くことは心を落ち着かせます。
日本語は私達の文化の一つです。その言葉を書くと言う行為。久方ぶりに自分の書いた文字を見るのも良いものだと思います。
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