愛される公園

この季節の公園です

休みになると、親子のキャッチボールや小学生のサッカーで賑わっていた空地が姿を消しました。今そこの立て看板には、この空き地が住宅や店舗に変わると書いてあります。

ところでいま住んでいるマンションの前に、道路に面した小さな公園があります。

公園には30メートル程の大木(ヒマラヤ杉かと思われます)が等間隔で13本植えてあり、芝生の上にはウサギと馬の形をした遊具が隅の方に二つあります。公園の入り口を入った所には恐らく花木蓮かと思うのですが(名前が書いてありません)、この木が四季折々の表情を見せてくれます。もう新緑と言って良いような緑に変わりましたが、三月には白い花が満開でした。この季節だけ通りすがりの人が立ち止まり、ひっきりなしにスマホで写真を撮って行く姿がありました。公園には目立った遊具が他になく、ベンチもありませんから、夜遅くまで高校生がたむろする事もありません。昼間に犬を散歩させる人が立ち止まって遊ばせる以外は、ずーっとただ静かな公園でした。

この公園が注目され始めたのは、ここ数年の事です。

午前中、ちょうど1日が暖かさを増し始める頃、園児達が先生達に手を引かれたり、トロッコに乗せられて、次から次に訪れるようになりました。赤い帽子、黄色い帽子、青い帽子、緑の帽子。その中にはまだおむつの取れてない子もいるようで、お尻が重たそうで歩くのもやっとです。子供達は、樹々の間をぬっての鬼ごっこやかくれんぼに興じています。大きな歓声が響き、走っている姿が見えます。

ある日、英語の掛け声が聞こえてきました。おやっと思って窓辺によってみると、緑帽子の子ども達が広がって体操を始めています。グリーンのTシャツを着た外国の若い男性が大きな声で号令をかけています。どこからか笑い声や歓声があがったかと思うと、泣き声も聞こえます。

私は、その子供の声に誘われて、公園の見渡せる窓辺に椅子を持ち出して座ります。あらあら、よちよち歩きの子が座り込んで泣いています。先生が駆け寄って抱き上げようとしています。3人の男の子が腹這いで見てるのは何でしょう。草の中に珍しい虫を見つけたのかも知れません。その様子を眺めていると、何だか心が満たされて和みます。

公園で遊ぶ子供です

最近は各保育園でこの公園を使用する順番でも決まったのでしょうか、赤、黄、緑、青の帽子がいっぺんに公園内で入り乱れる事は無くなりました。本当に狭い公園なのです。

園児の滞在時間はその日の天候にもよりますがそんなに長くはありません。お昼頃公園を見ると、もう誰もいません。

時々、区の作業員の方が公園の整備や剪定をなさいます。それだけではなく、近くにお住まいの方かと思われる人が早朝から草取りをされる姿もあります。公園の側を通りすぎるだけではなく、みんな何となく気にかかっている公園なのです。

この公園には常緑樹だけでなく落葉樹も沢山植えられています。昨年は、この紅葉の落ち葉をそっと拾って手帳に挟む娘さんを見かけました。

遊具はなくとも狭くとも土肌が残るこの空き地は、人の心に寄り添う公園なのです。


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