最近は時間の短縮が一番と誰もが考えているようです。
昔より多忙な生活を余儀なく送っているのは確かです。そのせいでしょうか。以前は心を込めて夕飯の為に、時間をかけたお料理を作りました。料理番組を観ていると、今は時間のかかる料理は好まれないようです。いつでしたか有名な料理研究家が、鮭の切身に醤油をかけて焼くだけ、と簡単を売りにしていましたが、作ってみると案の定まずくてがっかりしました。
仕事を持ち、子育てもしている、忙しい女性達が食事作りにじっくり時間をかけられないことはわかります。でも一品だけ、何かお母さんが作ったと思わせるお料理をテーブルに並べる事はできないでしょうか。例えば、具沢山のお味噌汁とか、我が家風のカレーやお母さんに習った煮物などはいかがでしょうか?毎日は難しいとしたら休みの日だけでも良いと思います。私の経験ですが、料理は作らないとどんどん腕が鈍ります。
昨今は、言葉までも短縮して話すのが普通のようになってきています。特に高校生の会話を聞くと、私には意味がわからない事もあります。「おにやば」ってわかりますか?「おに」は「とても」と言う意味らしく「やば」は通常大変と言う意味です。ですから、「とても大変」と言うことになります。この「やば」も元々は「やばい」の省略です。今はこの「やば」がネガティブな意味だけではなくポジティブな意味でも使われているようです。「やばうま」と言えば、「たいそう美味しい」と言うことで、女子高生の一団とすれ違うとこのような会話が耳に飛び込んできます。
私が住んでいるあたりには区立、私立を問わず学校が多く点在しています。聞くところによると、今の新しい言葉の発祥は高校生からだと言いますから、その意味では流行の最先端地区に住んでいる事になります。
でも、前述の言葉を美しいと思いますか?この流行り言葉は若い人にとどまりません。いつの間にか60代、70代といった年齢層まで広まり、小さな子供も普通に使うようになっていきます。このように生み出された言葉がどれくらい市民権を得て定着するのかはわかりません。
日本には昔から大和言葉というものがあり、それを土台に和歌が発達したと言われます。少し廃れた感もありますが、「かわいい」と言う言葉はそれだけで「美しい」も「おいしい」も言い表すかのように使われるようになりました。私も「かわいい」を使いますが、他に言い方は無かったのか、それで良かったのかと考える事があります。
日本の言葉がどんどん貧弱になっている、と感じるのは私だけでは無いと思います。
かなり前の事ですが、「ガングロ」という装いが若い人の間で流行りました。その方々が大人になり、今は普通の装いに変わり「やはり一時期のものだったと思います。」と否定なさっている番組を見た時は何だかとてもホッと致しました。
さて、言葉に関してはどうでしょうか?実は「やばい」は私の語彙の中にも忍び込んでいるのです。娘たちと話す時、つい耳に入った言葉は外来種のように広がり口を突いて出ています。
昭和初期の映画で観るような緩やかと思える日常が今は時間との競争に変わり、時代と共に生み出される言葉が流行りの言葉です。
せめて、人の心の中に響く優しい、丁寧な言葉を使うよう努力したいと私は思っています。
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